スポーツ・スタディーズとの対話

平成元年入学 熊谷 建志

1月28日(金)
 「サロン・ド・トウカイ」1月例会。「最新バイオメカニクスからサッカーを語る」というテーマで、名大の布目先生と山形大学の浅井先生の発表。
 ビデオ解析などの資料を公開してもらいながら名古屋のストイコビッチ選手と高校トップ選手のインステップキック動作の説明を受ける。前者の方がインパクト時の内転筋の伸縮速度が高いのは天然芝で育った影響では?という、環境や文化が指導方法にも影響を及ぼしているという話題は興味深い。精度の高いボールを蹴るインステップキックは丁度ゴルフのショートアイアン。「土のグラウンドでダフると足が痛いです」。パスの精度は芝のグラウンドが作るか?

1月30日(日)
 三重大学教育学部の水上博司先生の研究室を訪問。中学高校で部活動の指導者が減少傾向にあると同時に大人もスポーツに接する機会が十分に整備されていない現状で、年代を問わず「地域」という枠組みで新たな基盤整備を謳う「総合型地域スポーツクラブ」の設立推進に携わる若き研究者。それに伴い非営利組識(NPO)として全国に続々と設立されるスポーツクラブの交流を支援する「NPOクラブネッツ」というNPOを設立したというので、興味半分話を聞いていったら、何時の間にやらWEB制作スタッフに丸め込まれる。とりあえず研究室にサーバーを立ち上げ、学生へのWEB制作サポート開始。「クラブには所属してない」と言えども、スポーツに対してマジメに勉強する研究室の学生には頭が下がる。
 ※「NPOクラブネッツ」 http://www2u.biglobe.ne.jp/~sports/clubnetz/index.html

2月21日(月)
 2月例会は文部省より「スポーツ振興投票専門官」を招いて、「スポーツ振興投票」即ち「サッカーくじ」についての話題を提供。「スポーツの独自財源を得る手段」としてのくじ導入構想には賛同すれど、反対勢力の圧力でこれだけ普及しているコンビニ販売ができないのは痛い。少なくともサッカーくじ開始後売り上げが延びなかった場合は「人気がないから」と読んではいけないと感じる。しかし売上を元にした分配金の行方も気になるところ。
 丁度ロンドン旅行から帰ってきたばかりだったので、講演者へお礼にブックメーカー「Ladbrocks」のマニュアルを贈答。植物検疫を通し忘れて密輸状態になっていた「Wembly Stadium の芝の種」を渡し忘れたのが悔やまれる。

3月17日(金)
 3月例会。半年後にせまるオリンピックをテーマに、JOCの強化事業部の方から五輪の歴史、現状などについて説明を受ける。
 もはや一般市民には手が届かなくなったところに昇華したようにも感じる五輪には、一方でボランティアの参加がなければ運営できない側面もある。「商業主義」「肥大化・巨大化」「ドーピング」など様々なネガティブな言葉が飛び交う現状でも「五輪競技自体にはフェイクがなく、世界のトップとスタンダードを知る事のできる場である」のも現実。これだけメディアなどを通して情報が氾濫していても未だ捉え切れない五輪の姿があると思うと不思議。

5月22日(月)
 「スポーツとIT革命」が5月例会のテーマ。トヨタカップなどの巨大スポーツイベントマネジメントの最前線で活躍する広瀬一郎氏が講師。
 「IT時代の市場の特徴は、制度上の権威(de facto)よりも事実上の制覇(de jure)が基準になっていくこと」という説明は言葉で書き表すよりも刺激的。個人制作で100万アクセスするような人気サイトもあれば、法人サイトでも全然アクセス数が上がらないものがたくさんあるWebの世界には実例がいくらでも見受けられる。そのような世界で競争するには、隣の芝を気にしているよりもより独創性のあるコンテンツを生み出し続けるのが肝要。「東北大の漕法は・・」と横目で気にしていた私の現役時代は、実は競争するには既に立ち後れていた証拠か?
 ※広瀬氏のサイト「Sports NAVI」 http://www.sportsnavi.com/

7月24日(月)
 6月例会の講師だった先生のお誘いにのり、筑波大学でのスポーツ産業学会に参加。
 ワークショップ「イベントの創造」で2002年W杯をホストする日本についての討論。Jリーグ鹿島の運営担当の方と欧州のサッカーシーンを撮り続ける写真家の方が語るフーリガン(暴徒化するファン)対策などのリスクマネジメントは、現在準備している都市の中でもどれだけ浸透しているのだろうか?だが一方、WOWOWサッカー解説でおなじみの信藤健二さんの指摘は反って重みがある。「私が日本代表として各国へ渡った時にはその国の日常的な姿を見ることが楽しみだった。W杯だからといって変に日本文化を前面に出そうとしたり、物々しい警備で外国人に頑なになりすぎたりしないようにするのも大切では?」
 懇親会後、関西の放送局でスポーツイベントプロデューサーとして活躍されていた方と朝4時半まで懇談。シリコンバレーなどで実践されるWeb Cast(動画配信)を用いたスポーツメディアの様々な可能性を教えてもらうも、高度な内容についていけず。実際翌日の学会総括でITの話題が出ても、この方が発言するとその内容に誰もついていけないのを見ると、「産業」の冠の傍ら研究を実践する「学会」の中で最前線の技術動向が議論できないのは皮肉でもある。

9月8日(金)
 短い夏休みを利用して久しぶりに北大へ。教育学部のある先生の研究室を訪問。
 北大キャンパス内のスポーツ施設拡充と市民開放をすることで、前述の「総合型地域スポーツクラブ」を北大学内から展開することを研究として計画しており、その中で北大体育会自体をNPO法人化することなども可能か模索しているとのこと。
 大学自体が地域社会に、他大学に、産業にオープンになっていく流れの中で、札幌駅から歩いて10分の土地にある抜群のインフラを生かさない訳にはもう行かないと熊谷は考える。微力ながらOBとして体育会についてのこれまでの流れと現状を報告させてもらったが、諸事情で今年度から研究を始めることができなかったというのは残念。ちなみに北大体育会の始祖は、学生のみならず札幌市民にも開かれ、日本の運動会の原形となった「遊戯会」にある。
10月17日(火)
 月例会は「スポーツNPO」がテーマ。熊谷も時間を半分もらって、会費制運営をする「北大体育会」から非営利法人的運営をするスポーツ組識について発表。人前で発表するのは6年前にボート部コーチを辞めて以来だろうか?空回りになっても説明を押し切っていた若い頃とは逆の冷静なプレゼンを試みたが、やや消化不足。現役本部員から資料として譲り受けた体育会会報と北大スポーツで参加者にインパクトを与えることができたのが救いだった。
 発表終了後質問に来た方と話をすると、「実は杉藤氏と高校の時同級生だった」ということで、その後盛り上がった。また一つ「スポーツ」の輪が広がった。
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 名古屋で開催する自由参加型のスポーツ勉強会・交流会「サロン・ド・トウカイ」では、スポーツ社会学を専攻する若い大学の先生方らを中心に、学生や社会人まで様々な方面の人が入り交じって、毎回様々なテーマでスポーツを題材に語り合う場を開いております。熊谷はこの会の中で広報担当として以下のWEBを管理しています。興味のあるテーマの時で結構ですので、名古屋にお立ち寄りの機会がございましたらお気軽にご参加ください。
 「サロン・ド・トウカイ」 http://www2u.biglobe.ne.jp/~sports/salon/