斎藤敏彰氏の叙勲を讃える

昭和31年入学 大津 密

 斎藤敏彰氏の「ノルウェー王国功労勲章叙勲」を会員の一人として心から喜ぶ者であります。

 氏は昭和32年入学、同時に北大ボート部へ入部、対校エイトの3番漕手として、その年の対東北大戦、全日本選手権を戦いました。
 私は、その艇友の一人として、氏の叙勲を我が事のように歓び、誇りに思っております。

 これまでに「ノルウェー王国功労勲章」を叙勲された日本人は、日本ノルウェー協会会長、富士ゼロックス会長等含め3人、斎藤氏は4人目と聞いております。
 そして、国王から「騎士一等」の称号を賜ったのは、斎藤氏が初めてだそうです。
 「功労勲章」もさることながら、「騎士一等」は氏の遂げた輝かしい快挙であります。
 挨拶文の中で氏は、「フェア−な評価をしてくれたノルウェー・・・・」と述べておられます。

 私事で恐縮ですが、私も20年ほど前、勤めていた会社の仕事で、スウェーデンの方々と親しくおつき合いさせて頂く機会がありました。
 5年間ほどのおつき合いでしたが、常に感心させられました。
 それは、彼等は、あるいはスウェーデンの社会は、とでも申しましょうか、人を評価する場合地位・年齢・財力に捕らわれることなく、「公正・公平」に徹するという事でした。換言すれば「真に、手を汚し、額に汗して働いたのは誰か」を規範に、人を評価するのです。
 私の実体験です。
 スウェーデンのトップ企業への納入業者の一人として私は、先方の技術部長や購買部長にコストダウンのための設計、流通の合理化などを提案しながら、受注活動をしました。
 部下を動員し、徹夜に次ぐ徹夜の作業を重ね、目標を達成、商談は成立しました。
 私は本社の役員を引き連れ、お礼のご挨拶に伺い、そして会食会を開きました。
 双方の役員・管理者・担当者が揃ってのパーテー、そこで先方の役員は、当方の役員によりも、この仕事で最も苦労した当方の担当者に対して、丁寧に礼を述べ、手厚くもてなすのです。
 スウェーデンの人々とのおつき合いの中で、こうした場面には幾度と無く遭遇しました。「本当に働いたのは誰か、責任を持って仕事をしたのは誰か」、これが彼等の評価基準でした。これを商社勤めの友人に話した所、「それは、北欧三国共通の社会原理だよ」と教えられました。

 「騎士一等」は、「誰が本当に働いのたか、責任を果たしたのは誰か」を基準に、地位・年齢・財力に関係なく、斎藤という一人の男を評価したものだと私は理解しています。
 我々北大ボート部のOBから、「真の武士(もののふ)、すなわち一等の騎士(ナイト)」が出た。これは、「私を離れ、公に就く精神」を持つ人間が限りなく少なくなった昨今、私達に、勇気と希望を与える、将に「歓天喜地」の慶事であります。

 これぞ、我が北大ボート部の神髄であり、誉れであり、誇りであります。