会長挨拶
茨水会会長 延与 三知夫
函館に移り住んでからはや5年近くになります。札幌からさしたる距離ではないのですが、やはり茨水会の活動をやや遠くから眺めるといった感じの年月でした。来春には今の勤めを終えますので、札幌に戻ります。
今年は連敗を重ねていた対東北大戦に全く久しぶりに勝利を収め、この定期戦の意義を僅かながら回復し得たように思います。このレースを岸で観戦していましたが、勝利を目にしたときの気持ちは、勝って快哉を叫ぶというよりも、何かほっとしたという感じのものでした。『やっとこの定期戦を少し形のあるものに出来た』といった感じで、これは一緒にいた他のOB諸君も同じだったらく、誰からも勝利の雄叫びといった声は聞かれませんでした。またこの思いは東北大関係者にもやや通づるものがあったようで、心中ではむしろ喜んで下さっていたのではないかという気がします。とにかく稀な出来事であるにしてもこの勝利をものにしてくれた杉藤ヘッドコーチはじめ部員や選手諸君に感謝します。
今年は今までになく論議の多い年でした。杉藤ヘッドコーチの就任とそれに関連しての茨水会の資金づくりや活動などに関する種々のことが、例えば電子メール上での会員間の活発な論議を引き起こすこととなりました。結果的にはこれが一面ではボート部の活動に対する会員の意識を高めることになり、同時に茨水会の組織やその運営のあり方についての熱心な論議がなされて、その後に茨水会の改革が論議されるに至ったという良い面もあったように思います。事実、今までの論議の中から、茨水会本部事務局の改組、あるいは組織の改革、募金委員会の発足と募金活動の活性化、支部活動の明確化など、が出されてきましたし、既にそれらの一部が実現しつつあるように思います。特に茨水会のやや中堅どころの会員の動きが活性化された感じなのは頼もしいことです。これからこの論議を大いに進めて、茨水会のあり方を良い方向に向けたいものです。併せて杉藤ヘッドコーチの指導の下、部員の学生スポーツとしてのボート競技に対する真摯な姿勢が確立されることを願っています。
ところで今までときどき発言してきたことですが、小生としては今後茨水会の役員のうち会長・副会長などの若返りをはかるべきだと思います。現在、上記の組織の改革とともに本部・支部などの役員組織を検討している段階ですので、しばらくはその動きを待つべきだと思っていますが、その目鼻がついてから後にでも、会長等の交代をお願いしようと考えています。こうして茨水会の上層部に活動的で、かつ部の現況を把握しているようなメンバーを配することによって、より強力に部をバックアップ出来るような態勢にしたいものだと考えています。今後、交代のタイミングなど、考えるべき問題はあるでしょうが、全体としてその方向に動くことを願う次第です。これらについて折があれば会員諸兄のご意見もお聞かせ下さい。
昨年の茨水会報の自分の文章を見直してみると、部員向けのものとして書いたものになっていましたので、今回は茨水会員向けのつもりで書きました。
多くの人に支えられた一歩前進 北海道大学漕艇部長 竹田 正直
1998(平成10)年のボートシーズンにおいて、北海道大学は、対校エイトが東北大学定期戦21連敗を脱する22年ぶりの勝利を勝ち取り、小樽商大定期戦の連勝記録をさらにのばすことができた。さらに、東北戦対校エイトを共に漕いだ医学部ペアが全日本選手権で、見事、全国優勝を遂げた。女子部員は、東北戦ダブルの勝利と共に夫々の試合でより苦戦した。また、30名以上の新入部員により1,2年生部員の強化も特筆すべきものである。
活動計画やマネージングも刷新され前進した。そして、部員相互の自立的自覚的ライバル意識をもつ個の確立と、他者への思いやりと部員の連帯意識が、幾分強化された。
また、京都大学合宿所を借用しての春練習による交流や、カナダのオアズマンとの交流、ヘッドオブザ茨戸の新設などによる国内外のボート関係者との交流が画期的に実展した。超氷河期といわれる就職状況下で就職希望学生(部員)は全員内定した。
これらの前進をもたらしたものは、いうまでもなく、部員個人の努力によって勝ち得たものである。そのことを部員は誇りにしてよい。だが今年の部員は、亀山監督、杉藤ヘッドコーチや他のコーチの指導と茨水会の支援を痛感しているであろう。
昨年度の全日本軽量級選手権エイト4位に対して、北海道大学は、第1回エルム賞3団1個人の中に漕艇部を選び、丹保憲仁総長の表彰状と10万円の副賞(オールセット)を贈って励ましてくれ、更に1年繰り上げて、ドイツ・エンパッハ社製エイトとほかにフォアの新艇を購入して今年の前進をもたらしてくれた。心から感謝したい。
今年の前進の最大の要因は、杉藤洋志ヘッドコーチの就任である。
アジアオリンピック金メダリストで、カナダでの2年間のコーチ研修で国際コーチ資格を取得した杉藤コーチは、その指導技術において科学的、かつ実践的であるのみならず、部員の状況を良く知り、部員に夢と目標を与え、彼の指導をうけて自覚的努力をすれば必ず勝つとの確信と志気を引き出してくれた。練習や試合でも、個人の上達と全体の勝利を常に統合し、全ての部員に展望を持たせている。1999年の全日本学生選手権総合3位以上という目標設定も彼のコーチ哲学の延長線上のものである。その他、艇と艇庫の条件整備なども格段に改善されつつある。地域や全国のボート界との交流や貢献も多大であり、かつ、今も一流選手として自己努力を続けている。11月から早朝6時半より全員が杉藤コーチの指導でトレーニングセンターで練習しているが、1年生が汗びっしょりで60分エルゴに挑戦している姿に感動した。
亀山監督も心底から杉藤コーチを信頼しサポートすると共に、練習や試合の全体、運営全体に厳しい分析と的確な鋭い指示を出してくれている。頼もしい限りである。
茨水会のみなさんには、毎年多くの支援のみならず、1998年は、いつ底をうつかも不明な危機的経済不況の中で、毎年の支援の他に、杉藤コーチの実現のために、とくに、関西と関東の茨水会員の方々のイニシアチブで、多大な支援をくださったことに感謝したい。前事務局長の鈴木教生さんの永年にわたる献身的な尽力と実行力に敬意を表わしたい。新事務局長の和田格人さんの理論的、かつ組織的効率的な運営に期待する所は、いっそう大なるものがある。
茨水会長の延与先生も、函館高専校長を定年でご退官され、1999年4月からは札幌にもどられるとのことで力強い日常的支援が得られる。小生も、2000年3月、すなわち、あと1年数ヶ月で北大定年退官であり、鈴木教生(理学部)、西田泰典(理学部)、若土正暁(理学部)の3人の先生方が北大漕艇部副部長に就任して下さり、万全を期して下さっている。
今年、茨水会の皆様の、まさに、物心両面にわたるご支援にもう一度心から感謝したい。とくに、コーチの就任について各地での多数にわたる会議、インターネット上での論議、個人的討論やいけんの提示など、かつて茨水会になかったほどに活発な交流と討議が行われたといえる。就任に賛意を示し、支援して下さった多くの方々への謝意はいうまでもないが、とくに勇気をもって疑念や意志を出して下さった茨水会員の方に、貴重なご意見のおかげで、討議内容と運営が深化し、活性化し、より組織的民主的に発展する基礎が形成されたことに対し、心から敬意と謝意を表わしたい。
亀山 聖二
茨水会員の皆様には今シーズンの成績を別項のとおり報告いたします。ここでは、私の視点から重要と思われた点について報告いたします。
1.専任コーチ(杉藤洋志氏)の就任
これにより、練習におけるきめの細かい指導が可能になった。レース結果としては対東北大学定期戦での勝利、練習では舵手無しペア・スカルを用い競漕・並漕を多用すること、またそれを選手選抜の方法の一部として用いたことが成果として挙げられます。また、「pursuit of excellence」のスローガンを明示し、選手の意識改革を進めたこともそのひとつといえる。
2.対東北大学定期戦の勝利
22年ぶりに壁を超えた意義は大きい。選手は「やればできる」ということを実感できたはずであり、負けつづけて来た歴史によるコンプレックスも払拭されたと思う。
しかし私から見ると、OB諸氏はともかく選手の喜び方もまた異常に思えた。常々私は選手に対して「過去の連敗は君たちのせいではない。勝敗はあくまで今年の両校の戦いの結果でしかない」ことを強調してきたにもかかわらずである。
現役選手には、連敗とそれを脱出するという十字架が背負わされていたのだろう。だれが背負わせたのか?思い当たる方がいれば、今後無責任な重荷をかけることは謹んで頂きたいと思います。単に「勝て!」と言うよりは、自分が成功・失敗した経験を踏まえ「〜したら良いのでは」、「〜したら失敗するよ」というような建設的提案を頂きたいと思います。
3.インカレ惨敗
対校エイトはインカレ準決勝で敗退した。杉藤コーチ・選手ともそれ以前のレースは全てインカレへの準備ととらえ、全力をもって望んだ大会であるがゆえに、結果が残せなかったことは今シーズンの最大の失点と捉えざるをえない。ここでは原因のひとつひとつには言及しないが、杉藤コーチ・選手は既に来シーズンを見据え、冬期練習の内容を具体化させスタートしている。
4.新人の大量入部
5月時点の新入部員数は男子35人、女子6人、マネージャー7人。過去2年間が10人前後であったことと比べると大きな伸びであり、非常に良いことである。現役の危機感、問題意識があったばかりでなく、吉田氏(昭36年入)をはじめとしたOB各氏のアドバイスも役立った。ここに記して御礼申し上げます。現在は、来年4月の新人勧誘目標(男子30人、女子5人)に向け活動中。
5.エントリーミスによる不出場
10月の全日本新人戦において、エントリー後のメンバー変更届が未提出であったため一部選手の大会出場が取り消しとなった。大会本部に多大なご迷惑をおかけしたばかりか、支援して頂いている多方面の漕艇関係者の方々にもご迷惑をおかけしましたことを、誌上ではありますが再度お詫び申し上げます。私をはじめ、杉藤コーチ、マネージャーとも恥ずかしさの極みであり、反省しております。特に練習を重ねて来たにもかかわらず出場できなかった選手には誠に申し訳無く思います。
監督雑感
'95冬に監督就任以来3度目のシーズンが終わった。その間OBと現役の中間的な立場で両者を見てきた。今年は専任コーチの就任をきっかけにいろいろなことが起きた。私なりの感想を述べてみたい。
1.定期戦 〜相手によって軽重をつけるものではない〜
選手・OBを問わず、対戦相手との過去の戦績によりレースに軽重をつけていると思えてならない。2氏の発言を引用したい。
「東北大戦にあれほどのOBが来たのに商大戦には一人も来ないとは何事だ。札幌在住のOBすら来ていない。相手によりレースの扱いに差をつけるなど失礼であり、もってのほかである。」(東克彦 元部長 名誉会員、'98.8 御自宅にて面談)
東氏は商大戦にただ一人観戦にこられたOBである。
「商大戦の扱いが低過ぎる。昔は勝てなくて苦労したときもある。東北戦よりも歴史がある商大戦をこのように軽んじて、学生がこのような態度でいいのか。案内すら来ていない。もっと同等に扱うべきだ。」(新沼氏 昭20入、'98.10.24合同ミーティング席上)
両氏の発言をもっともと思い聞かせていただいたが、私にはそのようなつもりは毛頭ない。ただ御指摘のとおり、選手にその気持ちが表れていたということは素直に受け止め、今後指導していきたい。
その際に重要なのは、現役を取り巻くOB諸氏の発言・態度である。くれぐれも注意して接し、発言することをお願いしたい。特に現役時代、定期戦に勝った経験しか持たない方々は。
2.募金委員会アンケート結果について
恐らく本誌別項に結果がまとめられていると思います。私は質問A−3の回答で
「C 昔の仲間と親睦がはかれる」が圧倒的に多いことに驚き、失望しました。
私は、茨水会は第一に現役の活動支援を目的とするべきであり、また私が監督になってからは現役選手にもそのように言ってきました。(だからといって全員がそう思って卒業する訳ではないのですが。)
現役活動の支援のみを目的とする別の組織を作るのか、茨水会の目的を変更するのか、どちらかが必要なのではないでしょうか。
3.水域について
現在、安心して練習できる場所は次のとおりで大変狭い。
(1)艇庫前の1000mコース
(1')上(カミ)はペケレットの森下流端まで。これは江別漁協との合意による。
上記の2つを連続すると2.5km。
(2)下(シモ)は最下流まで。
(1)(1')については、北大の小艇が数多く出艇し手狭、かつ接触等の危険な事故も発生しやすい(現に発生している)。(2)は漁やプレジャーボートの出現により無関心で100%安全な航行はできない。
また、次の水域は仮にボートを持ち込めたとしても航行不可能である。
(3)上(カミ)ドンから下流側2000mの間(生振大橋まで)。6−9月位までは水草でいっぱいになる。
(4)発寒川全体。90年代初頭までは使用していたが、水流が無く、砂が堆積し水深が浅く、また水草の全面発生で6−9月間は航行不可能。
(5)伏篭川。特に2000mスタート地点(最上流のJR鉄橋)から500m区間と、1750mから下流の創成川、発寒川合流地点付近は水深が浅い。2000m大会等には使用できず、'98は2つの定期戦をペケレット−大曲間で行った。
来シーズンだけ、北大だけの問題としてではなく、10年後20年後を見据え水域問題に取り組む必要を感じている。北大は北海道のリーダーとしてこの問題に取り組むべきと考えるし、また外部からもそう期待されている。解決に当たってはOB諸氏(特に開発局・道庁など行政機関にお知り合いのいらっしゃる方)の助力をお願いすることとなると思います。よろしくお願いします。